三陸は学生時代の9年間を過ごし, 卒業後も調査フィールドとしてたびたび訪れていた言葉では言い表せないほどかけがいのない土地です。その三陸沿岸は現在どのような状況にあるのか, また今後の漁業はどのようになるのかについて, 各所で様々な調査, 議論, または各省庁への提言もなされています。震災から半年が経った今, 特に学協会においてどのような動きがなされているのかを, ごく一部ですが紹介したいと思います。
三陸沿岸における環境変動, 今後の水産業等については, 各所の学協会で調査研究がなされています。ただ, 今回の震災による影響はその地理的な範囲もさることながら, 幅広い分野へ影響を及ぼしており, 個々の団体でカバーできる範疇を超えています。そこで各研究チーム間での連携・情報交換を推進すべく, 東北大学など岩手県の大学を中心とし「東北沿岸生態連絡会」が発足しました。第一回連絡会は8月30日に東北大学で開催され, 公官庁, 大学, および関連企業の各チーム間での情報交換と議論がなされたとのことです。本連絡会の活動については, 東北大学のホームページ (http://www.tohoku.ac.jp/japanese/)に掲載されています。

北里大学海洋生命科学部 加戸先生が現会長を務める日本付着生物学会主催のシンポジウム「環境変動と付着生物」では, 急遽沿岸の生物に対する津波の影響について議論するセッションが設けられました。このセッションでは加戸先生が三陸沿岸の潮間帯フジツボ群集を, また東京大学大気海洋研究所の河村先生が岩礁藻場を例に, 三陸沿岸を襲った津波と地盤沈下の生物影響についてご講演される予定です。本シンポジウムは2011年10月28日 (金), 東京大学大気海洋研究所 (千葉県柏市)で開催されます。詳細は日本付着生物学会ホームページ (http://www.sosj.jp/index.html)に掲載の開催概要をご覧ください。また本学会では, 今回の震災をテーマとしたシンポジウムを2012年秋に仙台で開催すべく調整を行っています。続報が入りましたらまたここで紹介させていただきます。

今回の震災復興の妨げとなっている大きな要因の一つに, 福島第一原発での事故が挙げられます。各海域の放射線レベルについては, 財団法人海洋生物環境研究所が文部科学省の委託を受け調査を行っています。調査結果等はホームページ (http://www.kaiseiken.or.jp/index.html)や報告書等で随時公開されています。またホームページからダウンロードできる報告書等は, 専門的な内容を比較的分かり易い文面で説明しているものが多く, 今回の事故を理解する手助けになるかもしれません。

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定点観測を行っていた崎浜赤灯より
(2009年9月17日筆者撮影)